ディヌ・リパッティの名演を聴く

ディヌ・リパッティは、1930〜40年代に活躍したピアニストである。活躍した時期が短い理由は、若くして白血病に倒れ、命を落としてしまったからである。彼の残した決して多いとはいえない録音はどれも素晴らしい輝きを放っているのだが、このCDもまた、かけがえのない宝物の1つである。
ディヌ・リパッティを語る上で外せないのが、バッハの「主よ人の望みの喜びよ」である。リパッティ自身もこの曲が好きで、何度かレコーディングされている。なかでもこのCDに収録されている音源は、そのまろやかなタッチがいいムードを作り上げている。涙せずには聞くことができない。
その他、ショパンの「舟歌」やリストの「ペトラルカのソネット」も素晴らしい。とくにペトラルカは、悲しげなメロディがリパッティの生涯を反映しているかのようで、儚い。ラヴェルの「道化師の朝の歌」も名演だ。決して荒々しくなく、それでいて冗長でもない。他のラヴェル作品も聞いてみたいものである。終曲のエネスコの「ピアノソナタ第3番」は、初めて聞く曲だったが、エネスコらしい、不思議な曲である。
2008年07月15日 | | 書評・映画評などなど
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